第4回日美展に出品した色鉛筆画で学んだ影と光の描き方
全国公募の第4回日美展が令和2年8月6日(木)から15日(土)まで、六本木(乃木坂)の国立新美術館で開催されます。
その頃までには、コロナウイルスが収束していることを願います。
日美の絵画部門の締め切りは4月15日(水)ですが、私もなんとか間に合うようにと色鉛筆画を描いて送りました。
その作品制作を通して、「実物よりも大きく描くこと」「遠近感を出すには」「影をどう描くか」これらを学ぶことができました。
特に「影をどう描くか」。
今まで光を描くことばかりフォーカスしていましたが、影を描くことにより、光が目立ってくることに気づきました。
これは、今現在のコロナウイルスが流行っている状況に例えても、同じようなことが言えるのではないでしょうか。
世間ではコロナウイルスの悪い部分(つまり影)ばかりが目立っていますが、良い部分(光)もよく探してみるとあることに気づきます。
というよりも、コロナウイルスが収束した後の光の部分の世界を創造することができます。
影をしっかりと認識することで、光の輝きを認識することができます。
光と影は、一体化しているのです。
目次
実物よりも大きく描く
絵を描くときに1番最初に何を描くのか、つまり構図を決めます。
その構図が大事と言いますが、本当にそうだと感じています。
最初に構図を決めて下書きを書いた時点で、その絵が良い絵になるかどうかが半分以上決まると思っています。
今回は、今までに出展した人の作品などを見て、やはり構図は大切と思い、時間をかけました。
ただ、チンチラシルバーの子猫を描くのは、絵本にするので決まっていました。
チンチラシルバーの「まりたん」が遊び疲れて、ふとトンネルの中で寝てしまった所を描くことにしました。
「まりたん」が手を伸ばしてうつ伏せになっている写真はありました。
でも、トンネルもありませんし、「まりたん」が寝ている写真もありません。
そこで、ネットで猫のおもちゃのトンネルを検索し、フエルトのトンネルがあるのを見つけました。
フエルトの柔らかな感触がチンチラシルバーの柔らかい長毛とマッチするので、その中で寝ていることにしました。
また、他の猫の寝顔を探しましたが、なかなかうつ伏せで寝ている猫は、ありませんでした。
猫の寝姿は、仰向けや横向きが多いんですよね。
こうして参考となる写真をいくつか見繕い、実物よりも大きくなりますが、子猫の手と顔をデフォルメして描きました。
ただ、子猫の額が少し広いのもデフォルメしすぎ、ちょっと顔が下の方になってしまいました。
後から気づいたので修正できませんでしたが、まぁ、こんな猫もいる!ということで。
なにはともあれ、すやすや寝ている子猫の姿は、癒やしになります。
コロナウイルス騒ぎでストレス抱えている人の多い世の中ですから、癒しを届けられるように願いを込めました。
遠近感を出すには
今回の絵は、室内で子猫を至近距離で見た構図となります。
そうすると、遠近感をハッキリさせなければならないので、遠近感を出すにはどうしたら良いのか、考えました。
遠近感の描き方には、「空気遠近法」というのがあります。
遠くは、ぼやけて薄いグレーっぽい感じ。
近くは、ハッキリとした明るい色。
風景などを描くときによく使われます。
室内の絵ですが、遠くを少しぼやけた感じで、近くをハッキリクッキリとしました。
それに加えて、遠くは少し暗い色、近くは少し明るい色になるようにしました。
また、大きさも、遠くは小さく、近くは大きくしました。
遠近感のある絵を描く時には、よくパースを使います。
今回は、床の模様が奥に集中して行くので、それをパースの代わりに使えました。
ですから、最初に床を描き、それからトンネル、猫を最後に描きました。
そのおかげで猫が上手く収まりましたが、猫の顔を描く時に補助線を描かなかったので、安易になってしまいました。
影をどう描くか
トンネルの影はどうなるのか?
100円ショップでトンネルの代わりになるような物を購入し、組み立てて見たりしました。
作ったトンネルの写真を撮り、その影を真似したのですが、なかなか上手く行きませんでした。
左上から光が当たっているという前提にし、その場合、どういう影ができるのか考えました。
最終的には、先生に教えて頂き、自分でも納得しました。
普段、どれだけ物をいいかげんに見ているのか、というよりもちゃんと見ていないというのが解ります。
上から当たっているのだから、天井が1番暗くなります。
また、左上斜め前からも光が来るので、トンネルの中の明暗をハッキリさせるとメリハリがつくこともわかりました。
トンネルの内側の影により、どうしたら立体的に見せることができるのか苦心しました。
また、白い猫が途中から影になっているというのは、結構難しかったです。
子猫の毛の色は、水色・ピンク・薄い緑を主に使いましたが、それでは濃さが足りず、青・赤・緑も薄く塗りました。
トンネルのグレーと色を見分けるため、子猫の毛には何色かのグレーも使いました。
チンチラシルバーっぽくするには
チンチラシルバーは、基本の毛色は「白」です。
それなら画用紙の塗り残しを使えば良いので、塗る部分が少なくて楽だと思っていました。
でも、実際は、大変でした。
なぜなら、白い毛というのは光がよくあたっている部分のみで、それは、ほとんどないからです。
形に沿って影ができるので、猫の体の形、それに柔らかい毛を表現するのに、細かく描いていかなければなりません。
シルバー色を出すには、「水色」「ピンク」「薄い緑」を重ね塗りしました。
グレーも何色か使いました。
それに加えて、チンチラシルバーは、ちょっと黄土色っぽい色味が入っている部分もあるので、黄土色なども使いました。
最終チェックに写真を活用する
良く描けたと思っても、近くで見るのと遠くから見るのでは、見え方が違います。
F10の大き目サイズということもありますが、色鉛筆画は油絵と同じように、遠くから観賞するものです。
遠くから全体を見ると、足りない部分が見えてきます。
また、写真に撮ると全体が分かりやすいです。
絵本にする場合は、スキャンすると読み取れない淡い色合いもあるので、それが写真にするとよくわかります。
また、今回先生に教わったのですが、白黒でチェックすると光と影がよくわかりました。
写真のデータをパソコンに取り込み、ソフトを使って白黒に変換して見ました。
スマホのアプリでも、できるかもしれませんね。
絵を白黒で見た際に、
最初にできたと思った際には、明るい部分が影の部分よりも暗くなっていました。
子猫の白い部分は良いのですが、子猫の影の部分が薄すぎました。
また、トンネルの内側の影の部分も薄過ぎました。
これらの影を濃くすることにより、立体感を出すことができました。
まとめ
今回の作品を仕上げることにより、特に「影」を描くことの重要さに気づきました。
物の「影」を描いていけば、絵が描ける、そんな感じです。
また、白黒写真を活用するというのは、大きな収穫でした。
ここのところ、色鉛筆画講座がコロナウイルスのために外出自粛となり、開催されなくなってしまいました。
でも、その代わりにメールで横山先生とやりとりし、色々と教えてもらいました。
そして、自分の進捗に合わせて、欲しい時に的確な指導をして頂けました。
生徒想いで、本当に有難い限りです。
これからは絵画教室もネットでのやり取りが良いのではないかと思いました。
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